木の扉を開けると、そんなに広くはないフロアに、ひしめくようにお客さんが入っていた。


カウンターにはグラスが沢山並べられているので、お酒が飲めたりもするのだろう。


私達は奥の六人掛けのテーブルに案内された。


ソファの席にさっちゃんと斉藤君が座り、向かい合うように瀬名君、私、蒼甫君が座った。


注文したドリンクが運ばれて来ると、私達はそれぞれグラスを手に持った。


「蒼甫、誕生日おめでと~!カンパ~イ」


瀬名君の合図で乾杯をした。


高校生の私達は、もちろんソフトドリンクだけど。


「みんなで集まるのって久しぶりだね」


さっちゃんが嬉しそうに笑う。


ホントだなと蒼甫君も笑った。


「最近、二人の周りに女子がやたら多いよね?急にどうしたのかなって思ってた」


斉藤君の言葉に、蒼甫君も瀬名君も黙ってドリンクを口にしている。


しばし流れる変な空気。


「も、もうすぐテストが始まるね」


沈黙を破りたくて、ついこんなことを口にする私。


「おい!イヤなこと思い出させるなよっ」


蒼甫君に頭をグリグリやられる。


「いたたたー。ごめんごめん」


みんな笑ってる。


よかった。


とりあえずごまかせたかな?