次の日、私は洋平君と待ち合わせをした。


今回は、クリスマスの時に一緒にコーヒーを飲んだあの喫茶店の前で会うことになった。


相変わらずレトロで、時代と逆行しているようなお店だ。


でもかえって新鮮かもしれない。


そんなことを思っていたら。


洋平君がやって来た。


「よう」


「どうも」


「入ろうか」


「うん」


私達はクリスマスの時に座った席に、また座った。


相変わらず、店内は暗い。


だけど、なぜか落ち着く空間だ。


今日の洋平君はTシャツの上に、淡く紫がかったカーディガンを羽織っている。


パンツはグレーのチェックのパンツで、今日もお洒落だなと思った。


「早速まぁ、話すけどよ」


私はドキッとして、息を飲んだ。


「神崎のこと」


「…うん」


「アイツ、映画のオファー断ろうとしてるんだって?」