「どういうことだよっ」


蒼甫君が、瀬名君の向かいの席に座る。


すぐに私も、蒼甫君の隣に座った。


「全然ダメだった。

妊娠は嘘なんだろ?って聞いても、それは事実だって、その一点張り」


瀬名君が鼻でフッと笑う。


「はぁ?」


「考えてもみたらさ、どんなに怪しくても、本人しかわからないことなんだ。

それをどうやって確かめればいいんだよ」


「瀬名君…」


「それにまだ契約期間中だし、辞めるなんて絶対許さないってさ。

でもアイツ、色々と嘘は認めたよ…。

去年の夏、海にいたのは。

単なるスカウトだった…」


「瀬名…」


「大学を辞めたのも、コズミックに入社したのも、去年の夏じゃなかった……」


「え…?」


どういう事なの?


「鈴木さんが卒業して、すぐだったらしい」


そ、んな…。