「どうしたのかな?静かになったよね」


「うん」


しばらく見ていると、急に薫さんが話を始めた。


何やら少し早口で話しているようだ。


薫さんの言葉に、瀬名君の表情がどんどん曇っていく。


何を言われているんだろう。


しばらくすると薫さんは席を立ち、伝票をさっと取って、カツカツとヒールの音を立てながらレジへと歩いて行った。


そしてお金を支払い、お店を出て行ってしまった。


瀬名君は、視線をテーブルに落としたままだ。


私と蒼甫君は席を立ち、瀬名君のテーブルへと急いだ。


「瀬名…。どうだった?」


蒼甫君が問いかけると、瀬名君はゆっくり私達を見上げた。


その瞳には、昼間見た光は見られなくなっていた。


「結論から言うとさ…」


私と蒼甫君はゴクッと息を飲んだ。


「妊娠は事実らしい」


「え…?」