ピンと張り詰めて硬かった瀬名君の表情が、ふっと急に緩んだような気がした。


ずっと、ずっと重かったんだね。


その二文字に、心を押し潰されていたのだろう。


一人で抱えるにはあまりに重い荷物を、必死に背負っていたのかもしれない。


「いいのかな、俺。

モデル辞めてもいいのかな」


瀬名君が遠くを見るような目で、私達に問いかける。


「いいんだよ。

もう解放されて」


蒼甫君がそう言うと、瀬名君の顔に少し光が差した。


「なぁ、瀬名。

今日早速さ、薫さんに話せよ。

俺も優月も付いていくから。

今日、優月バイトないだろ?」


「あ、うん。ないよ」


「そばにいて、見てるから」


蒼甫君がそう言うと、瀬名君は少し泣きそうな顔をして。


そして、ゆっくり口角を上げた。


「ん…。サンキュ」