瀬名君は頭を抱え込んでしまった。


「本当にごめんなさい。

どうしようもない姉で。

私も姉が心配でたまらないんです。

どうにか、立ち直って欲しい。

父親を許して欲しいって思っています」


瀬名君はもうそれ以上、言葉がなかった。


妹さんは申し訳なさそうに続けた。


「姉がご迷惑をかけて、すみませんでした。

あの、一応これ、連絡先です。

置いて行きます」


そう言って、カフェのペーパーナフキンに電話番号を書く妹さん。


「それじゃあ私、両親の待つホテルに戻ります。

大学が始まるまではこっちにいるので、また明日、姉を訪ねてみます。

あの、何か聞きたいことがあれば、いつでもご連絡ください…」


そう言って立ち上がると、深く頭を下げ、伝票を持って立ち去ってしまった。


瀬名君は頭を抱えてうつむいたままだ。


「瀬名君…。大丈夫?」


黙ったままの瀬名君。


どうしよう。


なんて声をかけたらいいの…?


ひど過ぎる。


こんな事って…。


瀬名君。