「か、薫は、田舎に帰る前に思い出作りに海に来たと言いました。

再会して嬉しかったと。

ずっと好きだった、やり直したいと言いました。あれは全部…」


「嘘でしょうね。スカウトにでも来てたんじゃないですかね」


「ま、待ってください。

じゃ、じゃあ、妊娠してたって話は…?」


「えっ?」


驚愕した表情を見せる妹さん。


「俺が中学の時。

俺の子を妊娠して、俺のために姿を消したと言ったんです。

あれは…」


妹さんが首を傾げる。


「うーん。それはちょっと確かめようがないですけど…。

でも、妊娠したからあなたの前から姿を消したっていうのはちょっと……。

そんな素振りはこれまで一度もなかったですしね。

私は、信じられないです」


「じゃあ、もしかしたら、嘘かもしれない…?」


妹さんはコクンと頷いた。


まさか、そんな…。


瀬名君……。