「ただ?」


私はキョロキョロとまわりを見渡し、誰にも聞かれていないのを確認した。


「最近同じクラスの男の子に、ものすごく話しかけられるようになったの。
急にどうしてなんだろうって思って」


そう。


私はこの数週間、男の子によく声をかけられるようになった。


基本人見知りの私は、この状況にすごく戸惑っていた。


渋谷君がクスッと笑う。


「今まで竹内がそばにいることで、瀬名や神崎に女の子が近づけなかっただろ?
実はその逆もあったってことだよ」


「逆?それって、どういう意味?」


「いつも瀬名や神崎がそばにいたら、とてもじゃないけど男連中は竹内に声かけられないだろ?
あれだけのイケメンなんだから」


そう言って渋谷君がニッコリ笑う。


「竹内、自覚ないかもしれないけどさ。ひそかに男子に人気あるんだよ」


「えっ?」


「今まで瀬名と神崎がストッパーになってくれてたんだよ」


渋谷君はさらっと言うけど、そんなのちょっと信じられない。


今まで誰かに告白されたことなんて一度もないし、中学の頃だって男子には全く相手にされてなかったもの。


「竹内、気をつけろよ。変なヤツに引っ掛からないように。
やっぱり俺が一緒にいようか?」


渋谷君が真っ白い歯を見せて笑う。


もうっ。


渋谷君はいつも答えに困ることを言うんだから。