遠くを見つめるような目をする妹さん。


そして、さらに続けた。


「そのおじさんは、姉の父親の知り合いだったようです。

悪気はなかったんです。

姉がその事実を、知っているのだと思っていたようで」


そんな事情をいきなり知らない人から言われるって、すごくイヤだっただろうな…。


薫さん、かわいそう……。


「姉は家に帰って、母に問いただしました。

母は初めは否定してたんですが、もう姉は高校生になっていましたし、真実を打ち明けました」


「そう、だったんだ…」


瀬名君がビックリした顔をしている。


瀬名君も、全く知らなかった話なんだね。