妹さんの意外な言葉に瀬名君の表情が曇った。


「それは、どうしてですか?」


瀬名君が問いかけると、妹さんは悲しそうに視線を落とした。


「姉は…、もう帰らないつもりで、こっちの大学へ進学したんです」


もう帰らないって、一体どういうこと…?


「あの…。家庭の事情になってしまうんですけど、聞いてもらっていいですか?」


妹さんの問いに、瀬名君はうんと頷いた。


「姉と私、父親が違うんです。

母がある男性と別れて、再婚した相手が私の父親で…。

姉は母の連れ子だったんです」


そうなんだ。


だから、顔があんまり似ていないんだ…。


「母が再婚したのは姉が2歳の時だったので、私達は同じ父親から生まれたとずっと思っていました。

私達はとても仲の良い姉妹で、近所でも有名だったんです。

でもある時、姉が学校帰りに突然知らないおじさんにこう言われたんです」


私と瀬名君は、ゴクリと息を飲んだ。


「君ら姉妹は父親が違うんだよね、と…」