その日の放課後、瀬名君が1組にやって来た。


私はこれからも、学校から駅まで、瀬名君と帰ることになっている。


「優月」


久しぶりに会う瀬名君は、髪を少し短めに切って、爽やかな雰囲気になっていた。


「瀬名君。久しぶりだね。元気だった?」


「うん。優月こそ、元気だった?」


「バイトばっかりしてたよ」


「相変わらずだなー。勉強は?」


「宿題以外してない、かな…」


「余裕だね」


余裕って言うか、まぁ。


大学受けないしね…。


「ん?どうした?」


「ううん。なんでもない。帰ろうか」


「あぁ」


私と瀬名君は教室を後にした。


校舎を出ると、暑い日差しが照りつける。


「暑いな」


「ホント、暑いねー」


「なぁ、優月。

今日って、今からバイト?」


「ううん。今日はないよ」


「ちょっと、俺に付き合ってくれない?」


「どうしたの?」


「いや、実はさ。
昨日事務所に用事があって行ったんだけど、俺スケジュール帳忘れて帰っちゃってさ、今から取りに行くつもりなんだ。

もし時間あったら、一緒に行かないか?」


「んー」


蒼甫君はスタジオに行っちゃったし、家に帰っても、これと言ってすることもないしなあ。


「わかった。いいよ」


こうして私は、瀬名君とコズミックへ行く事にしたのだった。