「おはよー。優月、静華」


「おはよう。蒼甫、随分忙しかったのねー」


「あー聞いた?そうなんだよ。

今まで生きて来た中で、一番忙しい夏休みだったかもしんない」


「さすがにちょっと、同情しちゃったわ。

夏休みの間、優月ちゃんと一度しか会えなかったんでしょう?

アンタにとっては、かなりつらかっただろうね」


「あー、うん。一度しか…」


蒼甫君がチラッと私を見る。


一度…。


たった一度だけ会えた日。


蒼甫君の視線に、あの日の出来事が頭をよぎる。


半月ぶりの蒼甫君に、ただでさえドキドキするのに、私は顔に熱が帯びるのを感じた。


「優月。半月ぶりだな」


「うん」


蒼甫君がにっこり笑う。


私も微笑み返す。


見つめ合うだけで、なんだか胸が熱くなってくる。


「ちょっ、やだ。

なんかアンタ達、雰囲気が変わった」


「えっ?」


静華ちゃんに言われ、目をぱちくりさせる私と蒼甫君。


「なんだか入り込めない雰囲気よ。

やだー。なんか怪しい」


うっ。


静華ちゃん、鋭い…。