それでもスタスタ歩く洋平君。


こんな通りを歩くのが初めての私は、ビクビクしてしまう。


「おい。何おどおどしてんだよ」


洋平君が私を不思議そうに見ている。


「えっ。だってこの通り、ちょっと…」


「あ?んーまぁ、高校生のお前じゃ免疫ないかもなー」


洋平君は平気そうだけど、まさか慣れてるってことなの?


「大丈夫だよ。別に連れ込んだりしねーから」


なっ、なななんてことっ。


「そんなことしたら俺、神崎に殺されるだろう?」


こ、殺されはしないと思うけど…。


「アイツならやりかねないな」


一体、洋平君は蒼甫君を何だと思っているんだろう…。


「ん?」


急に立ち止まる洋平君。


「どうしたの?」


「ちょっと、こっちへ」


そう言って私の腕を引き、電柱の影に隠れる洋平君。


洋平君の視線の先を見ると。


怪しい建物の前をウロウロする男女の姿が。


うわー。


昼間からこういうところに入る人がいるんだー。


ビックリだな…。


「なぁ、あの女の人ってさ」


「ん?」