「まぁ職業柄かなー。

量販店のものを着るのはちょっとな。

人と被るのはプライドが許せねぇし。

あとはまぁ、こなれた感だよな。風合いっていうかさ。

おろしたてじゃちょっと、着慣れた感じが出せないんだ」


「へぇ、そうなんだ」


「あとはまぁ安いから。それが一番でかいかも。10代だし、稼ぎもまだそこまであるわけじゃないから」


そうだよね。


モデルさんだし、沢山服が必要だろうしね。


勉強になるなあ。


「来た道を引き返すより、あっちの駅に行った方が早いから、このまま真っ直ぐ行こう」


「うん」


お洒落な街の景色が、次第に小さなビルの建ち並ぶオフィス街へと姿を変える。


人通りもまばらになっていく。


しばらく歩くと、なんだか妙な雰囲気になってきた。


え…、なんかここって…。


すごーく怪しい通りなんだけど…。