「なぁ、お前さ。このあと時間ある?」


「え?あ、うん。もう宿題も済ませてるし、大丈夫だけど?」


「ちょっと古着屋めぐりに付き合ってくれる?」


「古着?」


きょとんとする私に、洋平君がうんと答える。


「いい?」


「…いいよ」


なぜかそんな展開になってしまい、私と洋平君は電車に乗って、古着屋さんが充実しているという街へと移動した。


「私、この駅って初めて降りた」


お洒落で有名な街だから知ってはいるけど、実際に歩いた事は一度もない。


「洋平君はよく来るの?」


「うん。よく来る。じゃあ、行こうか」


洋平君と横に並んで歩く。


洋平君は目立つので、行き交う人の視線をモロに感じてしまう。


「まず、ここね」


黄色い看板が、一際目立つお店へと入る。


中に入ると、むわっと独特な臭いがした。


流すように服を見ている洋平君。


「あ、三上君ー。いらっしゃい」


声のする方を見ると、店長らしき人が近づいてきた。


「店長。なんかいいの入ってる?」


「んーと、そうだね。ちょっとこっちへ来て」


そう言うと、洋平君は店長と店の奥へと入って行った。