「一番確かめにくい話だよな。そんな個人的な事」


「…うん」


「でもさ、だからこそ怪しいとも言えるんだ」


確かめようもない事実。


薫さん本人しか知り得ないことを、どうやって確かめればいいんだろう。


「ただやっぱり不可解なのは、事務所立ち上げと妊娠が同じ時期って事だよな」


そう言われればそうだ。


「妊娠してるのに、事務所の立ち上げに関わるものかな…?」


「学生で妊娠するって、相当戸惑う事だよな。

そんな状況で手伝えるとは思えないんだけどな」


洋平君の言葉に、思わず唸ってしまう。


「やっぱりあやしいよ、あの人」


そうかもしれない。


あの瞳は…。


「俺、もう少し探ってみるよ。

難しいとは思うけど、裕樹を放ってはおけないし。

何かわかったら、すぐに連絡するから」


「うん…」


洋平君がいてくれてよかった。


私一人じゃ、何も出来そうにないもの。