「なぁ、竹内優月。

お前、前に裕樹と樋口さんとの間に、何か事情があるって言ってたよな」


「……うん」


「それって、裕樹にとっては弱みみたいなものなんだろ?」


胸の奥がギリッと痛む。


「そう、だね。それがあるからモデルを辞められない」


洋平君が、私の顔をじっと見つめる。


鮮やかなグリーンのTシャツが、洋平君の整った顔を際立たせている。


「その事情…、話してみてくれないか?」


ゴクリ、息を飲んだ。


少し首を傾けて、切れ長の瞳で私の返事を待つ洋平君。


「でも…」


「俺はな」


そう言って、洋平君が長い脚を組む。


そんなにいちいちカッコいいポーズをしなくてもいいのに…なんて、内心思いつつ。


「樋口さんのこと、疑ってる」


「え…?」