「優月。すげぇ会いたかった」


目を細めてそう呟く蒼甫君は、やけに疲れた顔をしていた。


「蒼甫君が元気がないって聞いたよ。それで私、イチャさんに呼ばれてここまで来たの」


私がそう言うと、蒼甫君は身体を起こして壁にもたれた。


「何かあったの?撮影、疲れたの?」


膝を抱えて、顔を伏せる蒼甫君。


なんだか、小さな子供みたい。


「映画の撮影がイヤとか、そんなんじゃないんだ。疲れてるわけでもない」


「じゃあどうしたの?集中出来ないのはどうして?」


蒼甫君が、私の顔を覗き込む。


「笑わない?」


「え?う、うん。笑わないよ」


少し唇を尖らせる蒼甫君。


一体何なんだろう?


「充電切れなんだ…」


そう言って、蒼甫君がフッと笑う。


「優月に会ってないから、俺の元気どっか行った」


私は思わず目を見開いた。