「305号室…。あった。ここだ」


この中に蒼甫君がいるんだ。


私はドキドキしながら、ドア横のインターホンを鳴らした。


シンとした廊下。


床がカーペットのせいか、コトリとも音がしない。


しばらく待ってみるけど、蒼甫君は出て来ない。


ノックをしてみる。


でも返事がない。


部屋にいないのかな?


「蒼甫君。いないの?」


声をかけてみる。


寝ているのかもしれない。


メールでもしてみようかと、カバンから携帯電話を出した時。


ゆっくりと扉が開いた。