私は次の日、早起きをして電車と新幹線を乗り継ぎ、フェリー乗り場を目指した。


フェリーに揺られること45分。


映画撮影チームがいる島に到着した。


私はタクシーに乗り込み、イチャさんの待つホテルへと向かった。


ロビーに着くと、イチャさんが待ってましたとばかりに、私の方へ飛び出して来た。


「優月ちゃんっ」


「イチャさん」


「遠いのによく来てくれたわ。ありがとね」


「あの、蒼甫君は?」


「部屋で寝てるの。今日は出て来てないわ。

とりあえず、蒼甫の出ないシーンで対応してもらってるの。

どうにかしないと、日程が狂っちゃって迷惑がかかるわ。

優月ちゃん。蒼甫は305号室にいるから。

会ってやって」


「はい…」


私は階段を急いでかけ上がった。