「でも、ますます気に入ったわ」


い?


そう言うと、中谷さんは俺をベッドへ押し倒した。


「ちょっ、ちょっと待って」


俺に覆い被さる中谷さん。


すかさず唇を重ねられる。


少し触れたところで、俺は彼女を押し返した。


男の俺の方が、当然力が強い。


「ちょっ、何よー」


怒った顔の中谷さん。


こんな美人なんだもんな。


男に拒まれたことなんかないんだろう。


「す、すみません。

じ、実は俺…」


「な、なに?」


中谷さんが、ゴクリと息を飲む。


「女性を好きになれないんです」


俺の爆弾発言に、中谷さんが目を大きく見開いた。


「はっ?えっ?まさかあなた」


「シーーーッ!言葉に出して言わないでください」


俺は人差し指を立てて、深刻そうに言った。


「恋人がいます。

身長は182cm。色白で黒髪の似合うヤツです。

裕樹って言うんです。

あ、画像あります。見せましょうか?」


「い、いえ。結構よ」


そう言うと、中谷さんは慌てて台本を持って、部屋を出て行った。


瀬名…。すまん。


勝手に恋人にしちゃってよ。