「あの、中谷さん。
共演者同士でこういう展開って、マズくないですかね?」


俺がそう言うと、中谷さんがパッと俺の手を離した。


なんだか納得いってない様子の中谷さん。


「そうかなー。よくあることじゃない?」


「いや、やばいですって。

俺、責任持てないですよ」


この人は一体、何を考えてるんだろう?


「結構、本気なのになー」


「えっ?」


「すごく好みのタイプなの。

恋人いないなら、付き合って欲しい」


そう言って、目を潤ませる中谷さん。


じょ、女優さんだしな。


これ、演技なんじゃね?


「つ、付き合うなんてダメですよ。
人気女優さんなんですから。
俺みたいな駆け出しと付き合ったりしたら」


俺がそう言うと、中谷さんはぷぅと頬を膨らませた。


女優さんだから、まぁ何をやっても絵にはなってるけど。


「あなたって、ホント真面目なのね」


「はあ…」


普通はそうじゃねーのかな?