「じゃあ、恋人はいないの?」


「はい。いません」


ごめんな、優月。


「じゃあ私、立候補しちゃおうかな?」


「えっ?」


椅子に座っていた中谷さんが、急に立ち上がった。


そして、俺が座っているベッドへと腰掛ける。


「神崎君ってかっこいいよね」


中谷さんが妖艶に笑う。


俺はゴグッと息を飲んだ。


「タイプなんだよねー、すごく」


中谷さんは、ジリジリと俺に近づいて来る。


「あのー」


なんて言っていいのやら。


目をぱちくりさせていたら、中谷さんに手を握られた。


「ねぇ」


反対の手で太ももを撫でられる。


「しようよ」


「はっ?」


俺の間抜けな声に、顔をしかめる中谷さん。


「ねぇ。神崎君って案外女慣れしてないのね」


そう言って、中谷さんは自分の髪を手ではらった。


「相当モテそうだし、経験豊富だと思ってたのに」


人を見た目で判断するのは、やめてほしいな。