「ねぇ、神崎君」


話しかけてきたのは、中谷さん。


中谷さんは顔立ちがハッキリしていて、色が抜けるように白い。


さすが女優だよな、と感心してしまう。


「なんスか?」


敬語なんだか敬語じゃないんだか。


俺はちょっと、上下関係とかが苦手だ。


「明日、大事なシーンがあるでしょ?

夕飯食べたら、ちょっと読み合わせしない?」


「あー。そうっスね。

明日はちょっと重要なシーンですよね。

いいですよ」


読み合わせしておいた方がスムーズだろうしな。


「じゃあ20時頃に、神崎君の部屋を訪ねるわね」


「了解です」


その日の撮影が終わり、スタッフさん達と夕飯を食べて、俺は部屋に戻った。


シャワーを浴びて、汗を流す。


毎日暑いから、かく汗の量がハンパじゃない。


シャワーから出て、水を飲んでくつろいでいたら、部屋のインターフォンが鳴った。


はい、とドアを開けると。


「こんばんは」


中谷さんが立っていた。