「デジカメみたいに、何枚も気軽に撮れないでしょう?

確認も、撮り直しも出来ない。

今ここだってところを、絶対に逃せないの」


「…うん」


「真剣に、蒼甫君と向き合いたいの」


「俺と真剣に?」


「絶対、いい写真を撮るから。

夏休み、その写真を見てたら乗り切れそうだし」


そう言うと、蒼甫君がクスッと笑った。


「優月は、俺の一番のファンかもね」


「えっ?」


「顔赤くして可愛い」


「もうっ」


そういうことを言ってるんじゃないのにー。


「いいよ。撮って」


蒼甫君が、私の腕を握る。



「誰よりも、優月に撮ってもらいたい」



真っ直ぐで綺麗な瞳に、心臓が優しく跳ねた。


「じゃあ、あっちの方で撮ろうか」


「うん」