「なぁ。もうすぐ期末試験だろ?
それが終わったら、すぐに撮影に入るみたいなんだ」


「……うん」


イチャさんから、大体のスケジュールは聞いている。


結構過密スケジュールで、休みなんてほぼないに等しかった。


「遠方でロケばっかりらしい。

だから…、しばらく会えないよな」


蒼甫君が軽く口をつぐむ。


私は蒼甫君と同じ事務所だけど、現場に同行するわけじゃない。


夏休みが終わるまで、きっと会えない。


「さみしい?」


「ん?それはもちろん、さみしいよ」


「だよな。俺も……」


1ヶ月以上も会えないなんて、そんなの初めてだから、想像もつかない。


「撮影終わったらさ、遊園地でも行こう。俺ら、ふたりでそういうの行ったことないだろ?」


「うん。行こうね」


「それ励みに頑張るから」


蒼甫君がにっこり笑う。


「あ、そうだ。蒼甫君、お願いがある」


「お願い?何?」