「んー。そうだな。そろそろお昼だし、腹は減ってるかも」


私は自分のカバンから、巾着袋を取り出した。


「ん?何それ」


「お弁当だよ」


「うそっ。まじ?優月の手作り?」


「うん」


「やったー。すげー嬉しい」


お弁当を渡すと、蒼甫君が無邪気に笑った。


「食っていい?」


「もちろん」


私も自分用のお弁当箱を取り出す。


「いっただっきまーす」


早速蒼甫君が、玉子焼きを食べる。


大きな口で、ひと口で。


「んーーー。うまっ。うま過ぎでしょ」


可愛い笑顔に、思わず顔が緩んでしまう。


「優月ってさー、学校にいつもうまそうな弁当持って来るじゃん。

しかも自分で作ってるんだろ?

いつか俺にも作って来て欲しかったんだよなー」


そう言っておにぎりを頬張る蒼甫君。


「やっと実現した。まじ感動」


ちょっとくすぐったい気持ちになりながら、私もお弁当を口にした。