そっと、二人で手を繋ぐ。


心地よい風が、私のスカートの裾をひらひらと揺らす。


木漏れ日が蒼甫君に差し込んで。


あまりの美しさに、しばらく見とれてしまった。


「急に背負うものが大きくなったような気がしてる。

今まで海で大きなケガなんてしたことねぇけど、これからはそんなのにも注意しないといけないし。

あと、優月と歩く時は変装しろって言われてる。

キャップとメガネが、リュックの中に入ってるよ。

んなもん、したくねぇけど」


背負うもの、か。


それが責任というものなんだろうか。


「まぁ、考えてもしょうがねーんだけどな。
あのカモみたいに、今を生きるしかないわけだよ」


蒼甫君がにっこり笑う。


ホントに、いつだって蒼甫君は前向きだ。


その笑顔に、何度励まされたかわからない。


「ねぇ、蒼甫君おなか空いた?」