「あのカモはさ、明日の心配とかしねぇんだろうな」


「ん?どうしたの?突然」


「明日どうなるかとか、未来はどうなるかとか。

きっと、そんなこと考えないんだろうな。

ただ、今を生きてる。

きっと、過去のことなんて忘れてる」


そう言って蒼甫君が、視線を落とす。


「なんか最近、よくわからなくなってる。
学校で優月と過ごせるようになったのは嬉しいけど、仕事は忙しくなる一方で」


「……うん」


「俺、このままどうなっちゃうんだろうって思うんだ」


蒼甫君が、目の前の雑草をプチンと切り取る。


それを触りながら、ゴロンと芝生に寝転んだ。


「俺、何やってんだろうって思う。本当にこのままでいいのかなって…」


私もゴロンと横になる。


緑の葉の向こうに、真っ青な空が見え隠れする。


キラキラして綺麗だ。


「私も同じような事を考えてるよ。

目標が見つからないの。

どこに行けばいいのか、何をしたらいいのか。

何も思いつかなくて…」


私がそう言うと、蒼甫君が片腕を頭の下に置いて、私の方に身体を向けた。


「どこに行くとしても、何をするにしても。

行き着く先は優月と一緒がいい」


蒼甫君が、せつない目で私を見つめる。


ハートの中心が、じわじわと温かくなる。


「私もだよ」