去年の夏、俺と薫はまた付き合い始めた。


俺が過去に犯した罪。


それを償うつもりだった。


だから、俺がアイツにしてやれることは、何でもしてやろうと思っていた。


モデルになって欲しいと頼まれた時は、全力で応えようと思った。


だけど…。


恋人としての距離を保つのは、思った以上に難しかった。


振り払っても、振り払っても。


思い浮かぶのは、たった一人の女の子。


薫を抱きしめても、目を閉じれば他の子がいて。


だから、俺からアイツに触れることは、ただの一度だってなかった。


そんな俺の変化に気づかないほど、アイツは子供じゃないし。


フラれるのは時間の問題だった。


今思えば、アイツに別れを言わせたかったのかもしれない。


俺から別れを切り出すなんて、許されない事だったし。


正直、フラれた時はほっとしたけど。


でも、これからも俺はアイツのために仕事をしなくちゃいけない。


ずっと…。


この罪が許されるまで。