「じゃあ早速、次の仕事について話すわね」


私達三人は、黙ってイチャさんに耳を傾けた。


「蒼甫。次は映画よ」


「え…?」


「しかも、準主役級」


すごい!蒼甫君。


映画だなんて。


「蒼甫、あなた本当にラッキーよ。

あのドラマをたまたま見ていた重光監督が、来年の新春に公開予定の映画に蒼甫を起用したいって、直々に連絡があったのよ」


「え?重光監督ってあの?」


「そうよ。蒼甫を見ていて、イメージが役にピッタリだったんですって」


口元に手を当てる蒼甫君。


どうするつもりなのかな…?


「その撮影っていつから?」


「7月からよ。夏休みは確実に全部潰れるわね」


「えー?じゃあ俺、勉強とかサーフィンとか、どうすりゃいいの?」


「勉強は待ち時間にしなさいよ。

サーフィンは…うーん。

この夏はちょっとおあずけかしら?」


「そんなの、腕が落ちるじゃん」


「蒼甫。サーフィンはいつでも出来るけど、この映画のチャンスはたった一回なのよ!」


イチャさんの言葉に、蒼甫君が机に軽く頭を打ち付ける。


「うー。どうしよー」


サーフィンが出来なくなるんだ。


それは、迷うよねぇ…。