「優月と一緒にいたいんだよ、俺。

優月は俺といたくないの?」


子犬みたいな甘えた顔をする蒼甫君。


「一緒にいたいよ。でも…」


「でも?」


「急に仕事辞めちゃダメだよ」


「どうして?」


「蒼甫君への取材の依頼が増えてるの。

学校じゃみんなちょっと冷たい感じだけど、蒼甫君人気が出て来てるんだよ」


「そうなの?」


「……うん。守屋さんも蒼甫君のために毎日走り回ってるし。

イチャさんだって、すごく期待してるの」


「うーん…」


「この前のドラマね。すごく良かった。

蒼甫君って、あんなに自然な演技が出来るんだね。

ビックリしたよ、ホントに」


「惚れ直した?」


「うん。惚れ直した。私の自慢の彼だよ」


「マジで?」


「うん。だって、すごくかっこいいもん」


私がそう言うと、蒼甫君が抱きしめる腕に力を込めた。


「優月に褒められるのが、俺一番嬉しい」


無邪気に笑う蒼甫君。


もう、この人はホントに。


笑顔が眩しすぎる。


「俺、優月がいてくれたら頑張れる」


「うん、大丈夫。ずっと見てるから」


「…ありがと」