事務所に着くと、蒼甫君はすでに来ていた。


「瀬名?」


瀬名君が一緒にいることに驚いている蒼甫君。


「あらー。コズミックの裕樹君じゃなーい。どうしたの?」


イチャさんが、パタパタと近づいて来た。


「蒼甫。優月が他校の生徒に絡まれてた」


「えっ?」


顔を歪めて、目を見開く蒼甫君。


「幸いケガも何もしてないけど」


「そう。それでここまで優月ちゃんを連れて来てくれたのね。ありがとう」


イチャさんが言った。


蒼甫君は、私を心配そうに見つめている。


「優月。大丈夫か?」


「うん…」


「学校じゃ話さないようにしてるから大丈夫だったのに、まさか他校の生徒に絡まれるなんて…」


ため息をつく蒼甫君。


「そうね…。今後も多少あるかもしれないわね。
こういうことって、どうしても付きまとうものだから…」


イチャさんも、心配そうな顔で私を見ている。


私は、震える手をぎゅっと重ね合わせた。