放課後、私は胸を躍らせながら教室を出た。


蒼甫君に会える。


そう思うだけで、足取りが軽くなる。


つい急ぎ足になってしまいながら、校門をくぐったその時だった。


「ねぇ、ちょっと」


私の目の前に立つ、見知らぬ制服の女の子達。


「アンタが神崎蒼甫の女?」


ドクンと胸が波打つ。


だ、れ…?


見たことのない制服。


どこの学校の生徒なの?


「間違いないよ、この子よ」


声のする方を見れば、一人だけ青雲の制服。


黄色と言えばいいのか、オレンジと言えばいいのか。


お世辞にも綺麗な色とは言えないウェーブの髪。


同じ学年の子じゃない。


下級生だろうか?


「へぇー。大したことないんだね」


ぐっと詰め寄られ、思わず後ずさりした。


「こんなのが神崎の女なんだー」


「地味だよね」


「趣味悪いねー、アイツ」


さっきからなんなんだろう。


人のことをジロジロと見て、言いたい放題言って。


「そのうち捨てられんじゃないの?」


「だろうねー。このレベルじゃねー」


「アンタさー。芸能人の彼女だからっていい気になってんじゃないわよー」


な、何よそれ。


いい気になんかなってないもん。


「あんまり調子に乗ってると、痛い目に遭うよ」


そう言って、女の子が私に顔を寄せる。


ツンときつい香水の匂いがして、むせ返ってしまった。