深夜枠で主演でもないというのに、蒼甫君が芸能界に入ったという噂は、瞬く間に学校中に広がった。


下級生などは休憩時間のたびに蒼甫君を一目見ようと、三年生の校舎に来たりするけれど。


同級生にいたっては、少し感じが違っていた。


どちらかと言うと好奇の目。


男の子達にいたっては、冷ややかな視線のような、そんな気さえする。


誰だって映画やドラマを観たりするだろうに、いざそんな仕事をする人が同じ学年にいると、急に蔑むようになってしまうものなのだろうか。


あの視線の中にいられる蒼甫君って、本当にすごいと思う。


私なら怯んでしまって、学校に行けなくなってしまうかもしれない。


私、何も考えてなかった。


静華ちゃんの言う通りだ。


前に桐谷君が言ったことも、今なら理解出来る。


蒼甫君は今まで以上に、その一挙手一投足を見られてしまうんだ。


その横にいる私が、どういう興味の対象になるのか。


1年の時も色々と陰で言われてはいたけど、もしかしたらそんなものじゃすまないのかもしれない。