「蒼甫。みんながこっち見てる」


「えっ?」


「だから優月ちゃん、静かなんだわ」


「そうなのか?優月」


「……うん」


私がそう言うと、蒼甫君が目を見開いた。


「やっぱそれって、俺のせい?」


「そうね。アンタが来るまで、誰も私達なんて見てなかったもの」


「そか…」


静華ちゃんがそう言うと、蒼甫君が少し顔を曇らせた。


「蒼甫。アンタ今まで以上に注目されるようになるのよ。大丈夫なの?」


静華ちゃんの鋭い瞳が光る。


「まぁ…。なんとかやり過ごすよ」


ボソッとつぶやいて、蒼甫君が右手でガシガシと頭を掻いた。


「アンタは良くてもね。優月ちゃんが大変になるのよ。ちゃんとわかってるの?」


「え…?」


静華ちゃんの言葉に、心臓がドキッと跳ねた。


「芸能人の彼女って、そんなに甘いもんじゃないと思うわ」


「どういう意味だよ」


「良いも悪いも、いつも注目されちゃうのよ。ほんと気をつけないと」


思わずゴクンと息を飲んで、冷たくなっていく手をギュッと握った。


「優月…」


心配そうに私を見つめる蒼甫君。


「大丈夫。絶対守るから。

静華も、何かあったらすぐ連絡してくれ」


「わかってる。そうするつもりよ」


「静華ちゃん…」