4月の1ヶ月はあっと言う間に過ぎてしまい、ゴールデンウィークも明け、いよいよ蒼甫君のドラマの放送が始まった。


ドラマが放送開始される土曜日。


私は録画のスタンバイをして、テレビの前で時間が来るのを待った。


「姉ちゃんの友達が二人も出るんだろ?」


「そうだよ」


私の横で、弟のヒロトがテレビに張り付いている。


ヒロトには関係ないと思うんだけど、私が数日前からあまりに騒いでたから、どんな人が出るのか興味が湧いたんだと思う。


「あっ!姉ちゃん、始まった」


「うん」


私達は息を飲んだ。


始まってしばらくは、主演の女優さんや俳優さんばかりが出ていた。


「姉ちゃんの知り合い、まだ出ないの?」


「毎回出るはずだから、もうちょっと待って」


その時だった。


「あっ、出たっ」


蒼甫君だっ。


テレビの中の蒼甫君は、学校の制服とは違う青のブレザーの制服を着て、髪型も無造作にセットされていた。


「姉ちゃん、この人?」


「うん」


「すっげーカッコイイね」


「うん。ホントそうだね」


ドラマの中の蒼甫君は少し内気な男の子で、普段とは違っていた。


でもセリフもすごく自然だし、違和感がない。


「あっ、洋平君だ」


「この人も知り合い?」


「うん」


「かっこいい。背も高いね」


洋平君、ホントに髪の毛染めたんだ。


でも、これはこれですごく似合ってる。


洋平君も、演技うまいなあ。


二人とも表情がすごくいい。


二人ともドラマ初めてなのに、すごいな。