ひらひらと桜が色っぽく舞い散る校庭を、蒼甫君とふたりで歩く。


ぽかぽかした陽射しが、ふんわり私達を包んで気持ちがいい。


「俺の出るシーンは全部撮り終わったし、やっとゆっくり出来そうだよ」


ホッとした顔の蒼甫君。


本当に撮影お疲れ様。


「俺、今日ヒマなんだけど優月は?」


「私もバイトお休みなの」


「じゃあ久しぶりだし、デートしよっか」


「うんっ」


私達は指を絡ませ、少し早い足取りで駅へと向かった。


「どこに行く?」


「うーん。天気良いし、花見でもしねぇ?」


「わ、いいねぇ」


「この前行ったロケ先がさ、すんげーいい公園だったんだ。
ここ、桜が満開になったらめっちゃ綺麗だろうって思ってたんだ。

そこに連れてってあげる」


「ホント?楽しみー」


「こっからだと電車で40分はかかるけど、それでもいい?」


「もちろん」


蒼甫君と一緒なら、遠くたっていいもん。


「じゃ、決まりね」


私達は電車に乗り、蒼甫君が撮影で行ったという公園を目指した。