今日は始業式だけなので、午前中で帰れる。


静華ちゃんと話していたら、渋谷君が1組にやって来た。


「静華ー。あ、竹内も1組なんだ」


手に持ったカバンを肩にかけて、渋谷君が爽やかに笑う。


「渋谷君、久しぶりだね」


「見事にバラバラになったなー」


「ほんとよねー。今日はどうする?もう帰る?」


「うん、帰ろう。竹内は神崎と帰るの?」


「どうだろ?わかんない」


今日はメールも何ももらってないし。


「じゃあ、また明日ね。優月ちゃん」


「うん。バイバイ」


そう言うと、二人は仲良く教室を出て行った。


さぁて、どうしようかな…。


メールしてみようかな。


そう思って、携帯を取り出した時だった。


「優月っ」


声のする方を見ると、教室の後ろのドアに蒼甫君が立っていた。


「帰ろう」


思わず笑みがこぼれる。


久しぶりの蒼甫君。


抱きつきたい衝動を抑えつつ、私は蒼甫君の元へと急いだ。


「おっ、彼氏のお迎え?」


そう言って、私達の横を通り過ぎる桐谷君。


「お熱いねぇ」


私はギロッと桐谷君を見た。


彼はクスッと鼻で笑うと、へらへらした足取りで教室を出て行った。


「優月、アイツ誰?」


「卒業した生徒会長の弟だよ」


「へぇー。全然似てないね」


あの人、ホントやだ。


「まぁいいや。行こう」


そう言うと、蒼甫君は私の手を引いた。