私と静華ちゃんは、一番後ろの席に隣同士に座った。


こうして改めて見回してみると、ほとんど知らない人ばかり。


また人見知りを発揮してしまいそう。


「あ、竹内だ」


急に名前を呼ばれて顔を上げると、目の前の席に見知らぬ顔の男の子が座っていた。


誰だろう?


なんで私を知ってる?


私は知らないけど。


「あ、こっちは甲斐じゃん」


「はっ?誰よ、あなた」


静華ちゃんが、ギロリとその人を睨んでいる。


どうやら静華ちゃんも、彼の存在を知らないらしい。


「俺、桐谷康太(きりたに こうた)」


「桐谷?桐谷ってどこかで聞いたことある名字だわ」


あれ?私も聞いたことがある。


なんでだろう?


「あっ」


静華ちゃんと私は、ハッとして顔を見合わせた。


「「生徒会長だっ」」


私達は同時に声を上げた。


「そ。桐谷大悟は俺の兄貴だよ」


「なるほど。桐谷先輩の弟なんだ。

だから私達を知ってたのね」


「そゆことー」


桐谷先輩はキレ者で真面目な雰囲気の人だったけど、弟はちょっと違うかも。


抜けそうなくらい茶色な髪に、ロングレイヤーのパーマがあててある。


似合っているとは思うけどこの長さ、私からすると、ちょっとうっとうしい。