「多分、責任っていうのが付いてくるからだろうな。それが重荷になる感じなんじゃないかな?」


瀬名君が静かな口調で言った。


責任…か。


大人になるって、そういうことなのかな。


「でもさ。
大人って子供より、色んな事が自由に選べるじゃん。子供よりずっと制限がないと思うんだけどな。違う?」


「所詮、今はカゴの中の鳥ってこと?」


私がそう言うと、蒼甫君が目を閉じた。


「うん…。安全っちゃ安全だけどな。
でも、やっぱつまんねーと思う」


「そう…なのかなあ」


「俺は、カゴから出たいタイプだけどね。お前らはそうじゃねぇの?」


「俺は…どうかな?

俺もやっぱ出たいタイプかな」


瀬名君もそうなんだ。


私だけなのかな?


大人になりたくないとか思うのって。


まだまだ子供なのかな…。


この居心地の良さから抜け出すのって、すごく勇気が要るのに…。