チュッと、同時に私の頬にキスをする二人。


「……っ!」


私は慌てて頬を両手で押さえた。


ビックリしたせいで、目が何度もぱちぱちしてしまう。


「ぷっ」


「反応おもしれぇ」


クスクス笑う二人。


もう、なんなの?この人達。


「瀬名ー。俺の優月に何してくれてんのー?」


「お宅の優月ちゃん、無防備過ぎるんでー」


「やっぱそう思う?俺もそう思うんだよなー」


「ちゃんと捕まえておくように」


「言われなくても」


私を間に挟んで会話するのは、やめていただきたい。


そうこうしていたら、二人も仰向けになっていて。


三人で空を見上げた。


「海って落ち着くよな」


「波の音のせいかな?」


そうだね。


波の音のせいなのかもしれない。


「もともとみんな、羊水の中にいたからとか」


ふと思いついて言ってみる。


「あー。そうかもな。だから落ち着くのかも?」


そう言って、手を空にかざす蒼甫君。


「ずっとその中にいたら安全だったのに、どうして出てきてしまうのかな」


瀬名君が、急にそんなことを言い出した。


「んー、でもさ。どんなに居心地が良くても、そこから出ないと世界は広いって知らないままだよ?それってなんかつまんねーよな」


「うーん、それは確かにそうだけど。

大人になるって、なんかいやだな。

居心地の良い場所から、無理矢理出て行かないといけないみたいで…」


ボソッと呟いた私の言葉に黙ってしまう二人。


変なことを言ってしまったかな…。