「人ってね、人によって満たされる存在だとあたしは思うの」


「え?どういう意味ですか?」


「だってね。

たとえどんなに声が綺麗で歌が上手でも、一人で無人島で歌ってたって、きっと楽しくないと思うのよね。

聴いてくれる相手がいて、それを喜んでくれる人がいるから、歌う方は嬉しいのよ。

だから、あたしはそういう夢を持った子達を、全力でサポートしてあげたいの。

大勢の人に歌なり、演技なり、芸なりを見せてあげられるようにね」


嬉しそうに話すイチャさんを見ていると、なんだかキラキラしていて、素敵だなって思った。


「優月ちゃん。結局はね、誰と出会うかなのよ」


「え…?」


「人との出会いが、人生を変えるのよ」


出会いが人生を変える?


「優月ちゃんには、この先良い人と出会って欲しいわ。

そのためには人見知りだからって、引っ込んでちゃダメよ。

じっとしてたって、良い出会いはやって来ないんだから」


うっ。ちょっと耳が痛い。


「やりたいことが今はわからなくてもいいの。とにかく興味のある方向へ、どんどん行動してごらんなさい。
気がつけば優月ちゃんの行きたい場所へ、いつの間にか辿り着いてるはずよ」


「そうなんでしょうか?」


「そうよ」


興味のある方向?


なんだろう、それって。


私の興味のあること…。