どれくらいそうしていたのか…。


気がつくと、瀬名君の両手が私の頬を包んでいて。


すっと顔を上に向けられた。


うっ。


泣いた後の顔なんて、見られたくないのに。


瀬名君と目が合う。


「涙、止まった?」


そう言って、瀬名君がさらに私の顔を覗き込む。


お願いだから、そんなに見ないでー。


顔を固定されているから、小さく頷くことしか出来ない。


すると突然、目の前が急に真っ暗になって。


何だろうと思っていたら。


私の唇に、何かがトンと当たった。


ほんの一瞬。