「えーーーーっ!!!」


みんなが、ひっくり返りそうなくらい驚いている。


無理もないよね。いきなりそんな話。


「なっ、なんで急に俳優さんになったの?」


さっちゃんが、ビックリして目を見開いている。


「まぁ、成り行きかな。
優月のバイト先にちょこちょこ顔を出してる間に、そんなことになってた」


蒼甫君は、あまり表情を変えずに言った。


「アンタがデビューって笑える」


呆れた顔をする静華ちゃん。


「瀬名はモデルで、蒼甫は俳優?すごい友達を持ったもんだなあ」


斉藤君が、顎に手を当てて感心している。


「それ、いつから放送されんの?」


「5月頭から。土曜の夜11時台の放送になるんだ」


「蒼甫君、何の役なの?」


「俺は主人公の弟の役。あ、クリスマスに静華の家に来た洋平も出るんだ」


「洋平さんも?」


「うん。俺の友達役で」


「それはビックリだなー」


「放送が楽しみだね」


さっちゃんがにっこり笑う。


「そろそろ教室出る?」


蒼甫君の言葉に、みんな『うん』とうなずいた。


みんなでぞろぞろと、教室を後にする。


もうここに入ることはないんだなあと思うと、胸の奥がキュンと音を立てた。


みんなで中庭を歩いて正門へと向かい、校門の前で立ち止まった。


「じゃあ、ここで」


「うん」


「また新学期にね」


「ああ」


「バイバイ」


「バイバーイ」


私達は、そこで解散した。