第一棟の校舎に、私とさっちゃんの足音がパタリパタリとこだまする。


横目で教室の中に目をやれば、黒板にまだ消されていない『卒業おめでとうございます』の文字。


「私達来月になったら、こっちの校舎になるんだね」


「そうだね」


「理系クラスと文系クラスって、階が違うんだよね」


「文系が2階で、理系が3階って聞いたよ」


「じゃあ、離れちゃうね」


「さみしいね」


「うん、すごくさみしい」


「たまには遊びに来てね」


「もちろん。行くに決まってるよ」


同じ学校に通っているのに。


いつでも会えるのに。


クラスが違うというだけで、悲しいくらいに距離を感じてしまうのはどうしてなんだろう?


すぐ近くで、同じ時間を共有したい。


きっと、そう思うからなんだろう。