蒼甫君の茶色の瞳が揺れる。


「この前、ごめんな。ひどいこと言った。

瀬名の近くにいたいなら、俺と別れてからにして、なんて…」


胸の奥がチクリと痛む。


あの日の雨の冷たさが、今も鮮明に蘇る。


「言った後、すげぇ後悔した」


せつなそうに目を細める蒼甫君。


「そんなの、俺の本心じゃない。

優月と別れるなんて、死んでもイヤだし。

それに……。


瀬名とも友達でいたい」


そう言うと蒼甫君は一度目を閉じ、ゆっくり瞼を開いた。


「俺、瀬名にもちゃんと謝る。

だから、これからも三人で仲良くしよう」


「蒼甫君…」


「俺、もう大丈夫だから。

優月が好きなのは、俺だって信じてるし」


蒼甫君の澄んだ瞳が私を捉える。


強く、真っ直ぐ、清らかに。


「うん。信じて欲しい。

私には蒼甫君だけだよ」


そう言うと、蒼甫君は柔らかく微笑んだ。


私の指をぎゅっと握る蒼甫君。


「なぁ」


「ん?」


「愛してる」


「え…?」
















「優月を愛してる」