「えっ?お前らケンカしてんの?」


「いや。別にケンカじゃねぇけど」


あの雨の日以来、優月とは全然話せていない。


俺は未だに、気持ちの整理が出来ずにいた。


「お前が悩んでるのって、どの部分なわけ?

裕樹が竹内優月を好きなことか?」


うっ、洋平め。


そのままズバリ言ってくれるじゃん。


「何をそんなに気にする必要があんの?

付き合ってるのはお前だろ?

遠慮することねーじゃん」


それはそうだけど…。


「相手が瀬名だから、こんなに悩んでんだよ。

普通のヤツなら無視できるけど、アイツは友達。

しかも、親友だし」


俺がそう言うと、洋平が長い脚を組んだ。


「まぁ、確かに複雑だな」


「うん…」


「まぁ、もし俺が裕樹だったらさ。

今まで通り、接して欲しいって思うよ。

二人が仲良くしてるのを、間近で見てるのは確かにつらいけど。

それよりも、二人を失う方がつらいから」


洋平の言葉にハッとする…。


確かにそうなんだよな。


瀬名もそう言ってた。


友達でいさせて欲しいって。


そして優月も、そうしたいって言った。


なのに俺だけ、気持ちが空回りしてんだよな。