隣の部屋から、大きな笑い声が聞こえてくる。


楽しそうだな…と、ボソッと呟いた。


誰も歌わないカラオケルームは、BGMがむなしく響いていた。


「あのー」


ボーッとしていると、私の目の前にひょいっと顔をのぞかせて、話しかけて来る女の子が一人。


「竹内さん、だよね?」


「えっ?あ、はい」


「私、南さやか。学校ではあなたの斜め後ろの席よ。隣に座ってもいい?」


「あ、どうぞ」


ぎこちなく答えると、彼女は私の隣にちょこんと腰掛けた。


顔は見たことがあったけれど、話すのは初めて。


こうして間近で見てみると、色白で、少しタレ下がった目がとても可愛い人だ。


「竹内さんの名前って確か、優月(ゆづき)だったよね?

優月ちゃんって呼んでいい?」


「うん。えっと、南さんは…」


「さっちゃんでいいよ。小さい頃からそう呼ばれてるから」


「さっちゃんね。了解」


さっちゃんの少し甘ったるくて優しい口調が、私の緊張を解きほぐしてくれる。


波長が合うって、こういうことを言うのかもしれない。


私達はすぐに意気投合し、他の子達はそっちのけで二人で盛り上がっていた。