扉をゆっくり押して、中に入る。


「優月…」


「瀬名君。

どうしたの?さっきの女の子」


「ん?うん…」


瀬名君が言いにくそうにうつむく。


「付き合ってくれってさ」


うっ、また?


瀬名君ってやっぱりモテるんだね。


「多分、雑誌のせいだと思う…。

アレ見て言いに来るんだろうな。

ホントの俺の事なんて、よく知りもしないくせに…」


「瀬名君?」


「あぁ、ごめん。何でもない。教室戻ろう」


「うん」


そう言って二人で歩き出した時だった。


バタンッと大きな音が廊下に響いた。